カラカラ浴場~巨大テルマエ(公衆浴場)の代表(イタリア)

名前が面白いこともあって知名度はバツグンです。ヤマザキマリさんの漫画で「テルマエ」いう呼び名がすっかり有名になりましたが、カラカラ浴場はそのテルマエの代表と言っていいでしょう。でも単なる「公衆浴場」と思ったら大間違い。ツアーにも組み込まれていて行ったことのある人も多いと思いますが、その実態を知っている人は少ないかもしれません。


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公衆浴場というのは間違いではありませんが

 カラカラ浴場は公衆浴場です。もちろんこれは間違いではないのですが、単なる風呂屋ではありませんし、現代のスパやスーパー銭湯とも違います。

 それを象徴するのが図書館。なんとここには図書館があったのです。ギリシア語の書物用とラテン語の書物用の二つの同じ大きさの部屋がありました。他にも談話室や礼拝所、体育館のような運動するスペースや50mのプールがありました。

 もちろん浴場ですから浴室があります。中央に7つの浴槽を備えた巨大な冷室があり、2つの浴槽を備えた温室、4つの浴槽を備えた丸い熱室、そしてサウナと、とてつもない規模です。

過ごす

 入り口で料金を払って入場すると、広い敷地の真ん中に巨大な建物の残骸があります。

 この中央の崩れかけた建物がカラカラ浴場だと思っている人が多そうですが、今通ってきた入り口のある外壁とその中に広がる広大な空間もカラカラ浴場の一部なのです。外壁は一部回廊になっていて、図書館や談話室はこの部分にあります。食事を提供するところもあったようです。

 崩れ落ちて発掘されたモザイクのかけらが飾られていますが、かつては大理石の床にモザイクの壁、そして彫像が飾られて、ビカビカに輝く芸術品に取り囲まれた空間でした。

 このような設備を見ると、ここは「過ごす」場所と言った方が良さそうです。ローマの人々はここで運動し、入浴し、散歩し、読書し、議論し、芸術を鑑賞し、食事をして、満ち足りた時間を過ごしたのです。

市街のはしっこ

 カラカラ浴場はフォロ・ロマーノやコロッセオからは少し離れたところにあります。ローマの市街地の南のはずれといったところ。

 当時だってあまり便利な場所ではなかったはずで、市民の評判がどうだったのか気になります。

 でもカラカラ浴場が姿を留めているのはこの不便な立地のためでしょう。ローマの中心部にはカラカラ浴場より200年以上前に建てられた、テルマエの起源であるアグリッパ浴場や、カラカラ浴場から100年後に建てられたディオクレティアヌス浴場がありましたが、原型を留めていません。カラカラ浴場は周辺が再利用されなかったから形が残っているのでしょう。

 とは言っても建物はかなり崩れていて、残念ながら元の姿を想像するのはほとんど無理。何しろ天井がありません。かつては壁を白く輝く大理石が覆っていましたが、他の遺跡同様にそれも持ち去られてしまってほとんどありません。崩れた壁の上にはたくさんの鳥がとまっていて、一層廃墟感を増していました。

訪問ガイド

 最寄り駅は地下鉄B線のチルコ・マッシモ駅(Circo Massimo)。

 コロッセオから2.3km、20分ほどで歩いて行けます。フォロ・ロマーノやコロッセオ、真実の口などの定番スポットとセットで訪れるのが効率よいでしょう。ただしカラカラ浴場だけぽつんと南に離れているので、工程に組み込みにくいのが難点です。

更新履歴

  • 2018/4/15 新規投稿
  • 2021/4/10 冒頭の地図をイタリア広域地図とローマ市内図の2つにした。

Posted by roma-fan