城壁と聖人の街アビラ〜古代ローマ都市の上に造られた街(スペイン)
城壁と聖人の町と言われるアビラ。その城壁は古代ローマの城壁の跡に建てられたものです。ただし最初に断っておきますが、古代ローマ遺跡は何も出てきません。
![](https://i0.wp.com/roman-ruins.com/wp-content/uploads/2019/10/20131026_172215.jpg?resize=1024%2C678)
古代ローマ時代の街だったアビラ
アビラは今でも街が全周に渡って城壁に囲まれています。この城壁は11世紀に建造されたものですが、その際に古代ローマ時代の城壁の跡を利用して造られました。
Wikipedia英語版によるとアルカサル門とラストロ門の下に古代ローマ時代の切り石積みが残っている、というようなことが書かれていますが、それが見えている石積みなのか埋もれていて見えないのかわかりません。実際に見ても古代ローマ時代のものが見えているのかどうかはわかりませんでした。
![](https://i0.wp.com/roman-ruins.com/wp-content/uploads/2019/10/2013-10-26-132.jpg?resize=1024%2C768)
![](https://i0.wp.com/roman-ruins.com/wp-content/uploads/2019/10/20131026_161405.jpg?resize=1024%2C678)
![](https://i0.wp.com/roman-ruins.com/wp-content/uploads/2019/10/20131026_162552.jpg?resize=1024%2C706)
古代ローマの街は長方形だと言いますが、アビラの城壁は少しいびつです。スペイン北西部にルーゴという街があり、ここは紛れもない古代ローマ時代の城壁がほぼそのまま残っていますが、こちらもいびつで長方形とは言い難い形です。平地ではないアビラに正確な長方形の城壁を作るのは無理でしょうから、元からこんな形だったのでしょう。
古代ローマの街は中心で直交する二本の通りが街を貫いて通っていました。今もちょうど真ん中あたりに通りがあるので、おそらくそれが名残でしょう。ただ後に建てられた建物に遮られて、街を端から端までは貫いてはいません。
![](https://i0.wp.com/roman-ruins.com/wp-content/uploads/2019/10/20131026_164903.jpg?resize=1024%2C678)
左側の道がちょうど街の中央部を東西に走っていますが、
途中にある建物で遮られて街を貫いてはいません。
街の全体像
アビラには主要なローマ街道は通っていません。8世紀にイスラム教徒の支配を受け、城壁が再建されたのはレコンキスタ後ですが、交通の要衝でもないこの地方都市になんでこんなに立派な城壁を再建したのかわかりません。何か理由があったと思われますが。
街の西側にはアダハ川が流れています。対岸にクアトロポスデスというモニュメントが建つ展望台があり、ここからは城壁に囲まれた街の全体像が眺められます。ここから見ると西側の川の方に向かって突き出した周囲から盛り上がった台地の上に街が築かれていて、街全体が西に緩やかに傾斜していることがわかります。
![](https://i0.wp.com/roman-ruins.com/wp-content/uploads/2019/10/20131026_172702.jpg?resize=1024%2C678)
![](https://i0.wp.com/roman-ruins.com/wp-content/uploads/2019/10/20131026_172155.jpg?resize=1024%2C678)
ここから見る街全体の姿は古代ローマ時代とそう変わらないのではないでしょうか。当時は周囲に何もなく、高い城壁が聳えてその中にだけぎっしりと建物が建ち、その中で古代ローマの文化的な生活が営まれていたのです。その光景は元からここに住んでいた人の目には驚異的なものと映ったでしょう。
西の城壁の下は急斜面で川に落ち込んでいます。守るのに適した地形です。そういう場所ですから古代ローマ人が来る以前から人が住んでいて、Verracoと呼ばれるイノシシの石像も残っています。お隣のサラマンカでは古代ローマ橋のたもとにこのVerracoが飾ってあるのですが、このイノシシの石像はローマ支配以前のイベリア半島で造られていたもので、400個以上見つかっているそうです。
ちなみにこのクアトロポステスを古代ローマ時代のものと紹介していることがありますが、それは間違いです。1157年にペスト退散を祈念して始まったサン・レオナルドへの巡礼の記念碑で、今残っているのは1566年に建てられたものとのことです。
聖人の街
この街のもう一つの顔である「聖人」というのは聖テレサという修道女のことで、16世紀に修道院改革を進めた人だそうです。街の南東部のアルカサル門の脇にはテレサ像があります。10月15日がテレサの記念日だそうで、そのためでしょう、私が訪れた10月26日にはテレサ像にたくさんの花束が供えられ、大きな花絵が飾ってありました。
神様仏様を都合のよい時に拝むだけの私には、こういう宗教がらみのことはピンときませんが。
![](https://i0.wp.com/roman-ruins.com/wp-content/uploads/2019/10/20131026_161009.jpg?resize=1024%2C678)
![](https://i0.wp.com/roman-ruins.com/wp-content/uploads/2019/10/20131026_160951.jpg?resize=1024%2C678)
行き方
アビラはマドリードから車かバスで1時間半、鉄道で2時間ほどです。車の場合、マドリードから高速道路のみでアビラまで行けます。(A-6、AP-6、AP-51)
古代ローマ橋が残るサラマンカからは車では高速道路A-50で1時間強、列車で1時間半。
古代ローマ水道橋が残るセゴビアからは車で1時間弱。一般道で中間付近のビジャカスティン(Villacastín)まで行き、そこからは高速道路AP-51に乗ります。一般道も道はいいので運転は楽です。列車は直接結ぶ路線がなくかなり時間がかかります。
車の場合、城壁の南東にあるアルカサル門の正面に聖テレサ広場(Plaza de Santa Teresa de Jesus)があり、この地下の駐車場に停めるのが便利です。駐車場の入口は広場の南側にあり、城壁沿いの道から入ります。街中の道が細いので予めGoogleマップなどで道をよく調べてから行きましょう。
![](https://i0.wp.com/roman-ruins.com/wp-content/uploads/2019/10/20131026_165917.jpg?resize=1024%2C678)
私は2013年に朝マドリード空港を発ってセゴビア観光後にアビラに来て、その後は古代ローマ橋の残るサラマンカに行って宿泊しました。メリダやアルカンタラ橋などスペインの古代ローマ遺跡を巡ったこの旅の様子は旅行記をご覧ください。
旅行記はこちら![旅行のクチコミと比較サイト フォートラベル](https://i0.wp.com/cdn.4travel.jp/img/logo_141x44.gif?resize=141%2C44&ssl=1)
旅行のクチコミと比較サイト フォートラベル
アビラは「アビラ旧市街と市壁外の教会群」という名で世界遺産に登録されている通り、城壁の外にたくさんの教会があり、城壁の南側から見渡すと教会らしき建物がいくつか見えました。城壁内のカテドラルなども含め、キリスト教や教会に興味があればこれも面白いのではないでしょうか。もっとも私は古代ローマにしか興味がないので教会は一つも見ていないのですが。
![](https://i0.wp.com/roman-ruins.com/wp-content/uploads/2019/10/20131026_164643.jpg?resize=1024%2C678)
![](https://i0.wp.com/roman-ruins.com/wp-content/uploads/2019/10/20131026_161543.jpg?resize=1024%2C678)
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません